国指定重要文化財 ※関連施設
日枝神社本殿は、喜多院山門の前方にあります。
山王一実神道の関係から喜多院の草創時代から境内に祀られ、近江日枝神社を勧請したものといわれます。
本殿は、三間社流れ造り、銅版葺、朱漆塗り。室町末期から江戸初期の朱塗りの華やかな様式をよく残しています。神輿形厨子に安置される僧形の木像は、大山咋神を表しています。
なお、現在の赤坂日枝神社は、文明10年(1478)に太田道灌が江戸の地に城を築くに当たってここから江戸城内紅葉山に分祀したことにはじまります。
喜多院の七不思議
底なしの穴
喜多院の山門のすぐ正面には、国の重要文化財になっている日枝神社があります。この神社の狭い境内には、昔から「底なし穴」と呼ばれる大きな穴があり、覗き込んでも決して底が見えない、それはたいへん深い穴でした。
ある日のことでした。近所に住む人たちが、「一体、この穴はどれくらい深いのか知りたいな。」、「ひとつ、何かをほおり込んでみようか。」と相談して、鍋を投げ込んでみました。そして耳を澄まして待ちますが、いつまでたっても落ちた音がしません。「おかしいな。」それではとお椀や下駄などを投げ込んでみましたが、やはり何ひとつ音がしません。
「一体、どうなっているんだ?」と皆が穴を覗き込んでいますと、500メートルほど離れている双子池(竜の池弁天・ここも仙芳仙人が竜を祀ったといわれる伝説のある池)の方からやって来た人が「池に物がたくさん浮かんでいるぞ!」といいますので、行ってみると、さきほど日枝神社の穴に投げ込んだものが池の水面にポッカリと浮かんでいるではありませんか!
人々は今さらながら不思議な穴だと驚いて、この穴を「底なしの穴」と呼ぶようになったといことです。